強みというものが、よく分からない。あるのかも分からない。そもそも必要なのか。そういう声すら聞きます。
強みは、そう簡単には作れないのかもしれません。実際、圧倒的なNo1になるというのは、簡単ではないのが当然だと思います。
強みとは、選ばれる理由のこと
しかし、よく考えると、強みとは「お客様からビジネス的に評価され、選んでもらえる要因や理由」のことです。
だとすれば、選んでもらえるようにすれば、それは立派な強みになる、ということです。
自分たちで「強みは何だ」と考えると、難しい。実際に「これが強みだ」と思っていても、お客様に話を聞いてみると、自分たちの認識とは違うところを評価いただいている、ということが多くあります。
選ばれるまでには、2段階ある
お客様に選ばれるということを考えると、まずお客様にニーズが生まれ、どこに頼もうか迷ったときの選択肢に入っている、というのが基本です。
つまり、ニーズに紐づいて依頼先候補に入っていること。これを、カテゴリーエントリーポイント(CEP)と呼びます。「○○と言えば▲▲会社だよね」となる、記憶や心理面の話です。
そして、その候補先の中から、最終的に比較されて勝ち取ること。「▲▲会社はここが他に比べて良いから、今回はそこに頼もう」となる、何らかの評価軸での優位性です。これは物理性やサービス性といった要素にあることが多い。
つまり、提供側が「強み」と考えていることは、相手から見ると、何段階かのステップを経ています。一般的に強みというと、後者——特定の評価軸での優位性だけを考えがちです。
まとめると、こうなります。
- 記憶や心理面で選ばれる(土俵に乗る)こと——そもそも思いつくこと
- 比較の中で優位性があること——比較対象の中で優位性があること
1は、関係性で勝負できる世界
「思いつく」というのは、認知度と言い換えられます。もっと単純に言えば、日々訪問している、なんとなく顔が浮かぶ、という関係性で勝負ができる世界です。
2は、世界No1である必要はない
比較対象の中での優位性も、そもそも比較対象になるのは、購買側が声をかけられる範囲の中です。物理的な制約が、大いにあります。つまり、世界No1である必要なんてなく、地域No1であれば十分、ということになります。
また、「○○と言えば」と思い出してもらえるCEPをニッチに絞り込むことで、そこならNo1、ということでも構いません。
もちろん、ニッチすぎるとその市場の規模が小さすぎて、ビジネスとして成り立たない、というのは別次元の話としてあります。ただ、強みという言葉の解釈を、この1・2に分解すると、戦い方は変わってくるのではないかと思うのです。
1が強ければ、2はそこそこでも選ばれる
1のお客様との関係性は、それ自体が強みになります。思い出される、声がかかる状況にすること。
2の優位性は、比較対象の中での話なので、特定領域で勝負できれば十分に強みになります。
そして、実はここがポイントなのですが、1が強ければ、2はそこそこでも選ばれる可能性がある、ということです。
比較対象の中で選ばれたとしても、選んでみないと、その選択が正解だったかは分からないことがあります。商材にもよりますが、判断が難しい商材やサービスの場合には、1で決まることが大いにあります。
つまり、以前の投稿でも書いた通り、遠くのベストよりも、近くのそこそこで成り立つのです。
1は、プロセスに埋め込むと持続する
ここからもう一歩、踏み込みたいと思います。
1には、新しく思い出してもらう(CEPに入る)という側面だけでなく、関係を続けるという側面があります。そして継続という意味では、関係性を仕事のプロセスにまで埋め込めると、強みは持続的なものに変わります。
個人的な関係から、必然的に思い出される状況へ。さらに、一緒に何かをやる、協働で動く、というところまで進めると、相手はもう簡単には離れられなくなります。日々の業務や進め方の中に、自分たちの存在が組み込まれていくからです。
これは、個人と個人の関係から、組織と組織の関係へと深めていくことでもあります。担当者同士の属人的なつながりを超えて、仕事のやり方そのものに入り込む。そこまでいけば、2の優位性が多少そこそこでも、十分に持続性のある強みになります。
さらに言えば、協働で入り込むことは、1を深めるだけではありません。相手の業務に合わせて一緒に作り込むほど、その顧客に固有の優位性——つまり2——が育っていきます。そして、仕事の進め方に組み込まれるほど、乗り換えの手間やリスク、すなわちスイッチングコストも高まっていく。関係性が、2そのものを育て、同時に離れにくさをつくるのです。
ただし、こうした入り込みは先行投資でもあります。特に中小企業では、継続的な取引として回収できる見込みと、自社の体力とを見極めながら、どこまで踏み込むかを判断したいところです。
強みは、要素分解すれば見えてくる
強みというものを要素分解すれば、見えてくる世界も変わります。
まだまだ、可能性はある。それをお伝えできればと思います。