強みは、誰が決めるのか

経営改善計画書を作る際、SWOT分析は必須のコンテンツとして指定されていることが多い。毎回作ることになるのだが、毎回悩む。

その悩みの正体を、少し掘り下げてみたい。

どちらにもとれる、という問題

「高価だが特殊な設備を持っている」——これは強みか、弱みか。

特殊な設備は他社が真似できないかもしれない。それは強みだ。しかし高価で特殊ということは一般的ではなくニーズが限られるかもしれないし、償却負担が重く財務を圧迫しているなら弱みや脅威にもなり得る。

「少量多品種に対応できる」——これも同じだ。柔軟な対応力は強みだが、大量生産できないという弱みでもある。

要は、どちらにもとれる。SWOT分析をしていると、この「どちらにもとれる」問題に必ずぶつかる。

強みと弱みは、誰が決めるのか

この問いの本質は、強みと弱みは誰が決めるのか、という点にある。

答えは顧客だ。顧客が評価することで、強みにも弱みにもなる。そしてその顧客も顧客によって違うし、同じ顧客でも状況によって求めるものは変わる。

つまり、強みと弱みは相対的であり、流動的だ。当たり前のことだが、分析を始めると固定的に考えがちになる。「これが我が社の強みだ」と一度決めると、それが所与のものになってしまう。

SWOT分析は、結果論として使う

だとすれば、SWOT分析から何かを見出そうとするより、方向性を決めた後の整理として使う方が筋が良いのではないか。

戦略や方向性が先にあり、その文脈でSWOT分析を整理する。そうすることで、強みと弱みが文脈に即した意味を持つ。分析が先、戦略が後、という順番では、固定的な強み・弱みの列挙になりやすい。

強みは、存在するのか

相対的かつ流動的という性質を突き詰めると、そもそも強みは存在するのか、という疑問すら出てくる。

顧客が他と比較しても選ぶ理由——特別なことができる、ここでしか手に入らない——それが強みだとすれば、それは社会一般での相対性ではなく、顧客の認知の中での相対性でいい。

つまり、世の中全体で見て特別でなくても、特定の顧客の認知の中で相対的な優位性があれば、それは強みとして機能する。

強みには2種類ある。純粋な価値創造における強み——本当に希少で他にない能力や技術——と、相対的な立ち位置における強み——ポジショニングによって作られる優位性——だ。

前者はレアだ。しかし後者は、中小企業でも意図的に作ることができる。特に中小企業においては、このポジショニングによる強みを見出すことが現実的であり、重要だと考える。

「強みは?」より「特徴は?」という問い

実践的な話をすると、強みを探す際には「強みは何ですか?」という問いより「特徴は何ですか?」という問いの方が、筋の良い答えが出やすい。

なぜか。強みと弱みは結果論であり、文脈によって変わる。しかし特徴は、強みにも弱みにもなり得る可能性を秘めた中立的な事実だ。特徴を洗い出した上で、どの顧客に、どの文脈で、どう見せるかを考える。その過程で、強みは見出せる。

「特殊な設備を持っている」は特徴だ。それが強みになるかどうかは、誰に、どう届けるかで決まる。