業績が悪化したとき、何から手をつけるべきか。
やるべきことはシンプルだ。しかしシンプルゆえに強力な、3つの取り組みがある。
即効性のある3つの手法
① 値上げ
最も即効性があり、利益へのインパクトが大きい。売上は数量×単価で決まる。単価を上げれば、コストを増やさずに利益が改善する。値上げできた1円は、ほぼそのまま利益になる。
② 購買見直し・経費見直し
次に効くのが、出ていくお金を見直すことだ。仕入先の見直し、相見積もりの取得、発注ロットの最適化で原価を下げる。惰性で続く支出、効果の見えない投資を洗い出す。
③ 収益構造の見直し
より構造的な打ち手が、事業別・製品別の採算を直視し、売上とコストの関係を整えることだ。広がりすぎた事業の整理、製品やSKUの絞り込み、採算の合わない顧客の見直し。
これらに共通するのは「引き算」だ
3つに共通するのは、引き算だという点だ。
業績が悪いとき、経営者はつい足し算をしたくなる。売上を求める、新規事業を展開する、投資をしてみる——。しかし厳しい局面での足し算は、むしろ傷口を広げる可能性がある。体力が落ちているときに、さらに負荷をかけるようなものだ。
厳しい局面ほど、引き算の経営が王道だ。
だが、引き算は簡単ではない
ここからが本題だ。
引き算は、考え方としては正しい。しかし実行は、まったく簡単ではない。
事業や製品の絞り込みは、お客様に迷惑をかけるかもしれない。従来からの仕入先の変更は、これまでの関係に不義理になるかもしれない。値上げは、取引縮小を招くかもしれないし、顧客に負担を強いるかもしれない。
だから簡単には判断できない。経営者も、頭ではわかっていても、踏ん切りがつかない。
そうして時間だけが過ぎ、気づけば「もうどうにもならない」ところまで追い込まれてしまう。これが、多くの業績悪化企業が辿る道だ。
手法の前に、覚悟がある
つまり、本当に必要なのは、3つの手法そのものではない。
その手前にある、「利益を生み出したい」「赤字から脱却したい」「業績を上げたい」という、心からの信念と覚悟だ。
その覚悟があって初めて、執念が滲み出る。執念があるからこそ、難しい判断にも踏み込め、自ら道を拓ける。
手法は、覚悟がある者の手の中でしか機能しない。同じ値上げ、同じ経費削減でも、覚悟の有無で結果はまるで変わる。
大前提は、願いであり、覚悟である。まずこれを、肝に銘じたい。
その上で、手法を磨く
覚悟を前提とした上で、それぞれの手法には具体的なやり方がある。
値上げを実行するときの手法。購買・経費を削減するときの手法。収益構造を見直すときの手法。
これらについては、今後の記事で一つひとつ紹介していきたい。
まず覚悟を持つこと。そして、正しい手法で実行すること。この両輪が、業績改善と赤字脱却への道だ。