「支援者は答えを出すべきではない。問いを立てる人であるべきだ」——そういう言説がある。
一理ある。しかし、それだけでは足りない。
問いかけだけで動き出す人もいる
確かに、良い問いかけひとつで経営者の意識が変わることがある。
「なぜそれをやっているのですか?」「本当に解くべき課題はどこですか?」——こうした問いが、経営者自身の気づきを引き出し、自ら動き出すきっかけになる。
この場合、支援者が答えを持ち込む必要はない。問いを立てることが、最大の支援になる。
答えまで出さないと動かない人もいる
しかし現実は、問いかけだけでは動かないケースも多い。
何をすべきかが明確にならないと、一歩が踏み出せない経営者もいる。「方向性はわかった。でも具体的にどうすればいいのか」——その答えまで示して初めて、動き出せる人がいる。
問いを立てることにこだわりすぎて、答えを出すことを避けていては、支援として機能しない場面がある。
一緒にやらないと成果が出ないこともある
さらに言えば、答えがわかっていても動けないケースもある。
「やるべきことはわかっている。でも動けない」——組織の壁、人の問題、経営者自身の迷い。こういった状況では、支援者が一緒に動いて初めて成果が出ることがある。
伴走という言葉があるが、時には並走どころか、引っ張ることが必要な場面もある。
やりすぎることのリスクも忘れてはならない
一方で、支援者がやりすぎると、クライアントの自律性が失われる。
何でも支援者に頼る体質になってしまうと、支援が終わった途端に元に戻る。「支援者がいないと動けない組織」を作ることは、支援の失敗だ。
どこまで手を貸すか、どこから手を引くか——この判断が支援者の腕の見せどころでもある。
最適解は、会社ごとに違う
問いかけだけで十分な会社もある。答えまで出すべき会社もある。一緒に動かなければならない会社もある。
大切なのは「自分はここまでしかしない」というスタンスを固定しないことだ。そこまでやるのかという心構えと算段を持ちながら、相手のために何が必要かを都度考える。
支援者としての引き出しを増やしておきながら、クライアントのフェーズと状況に応じて、最適な関わり方を選び続ける。それが支援者に求められる本当のスタンスではないか。
問いを立てることも、答えを出すことも、一緒に動くことも——すべて支援の手段だ。目的はクライアントが自ら動き、成果を出せる状態になることだ。