「管理部門はコストセンターだ」——そう割り切って、最低限の人員と予算しか充てていない中小企業は多い。しかし、業績の良い会社と悪い会社の差を見ていると、この認識が足かせになっているケースが少なくない。
仕組みづくりは、誰がやるのか
どの会社でも「仕組みづくり」は目標として語られる。しかし実現できている会社は多くない。なぜか。
仕組みづくりは、業務の流れや事業運営上の重要事項を俯瞰しながら整える必要がある。さらに、部門横断で構築しなければならない。現場の一担当者にできる仕事ではない。
本来これは、経営陣、あるいは企業運営を支える管理部門の担当者が担うべき仕事だ。ところが多くの中小企業では、管理部門は「処理をする部門」として位置づけられており、仕組みを作る主体として機能していない。
管理の本来のミッションとは何か
「管理」というと、細かなルールの徹底や、重箱の隅をつつくような指摘を思い浮かべる人もいる。しかしそれは管理の本質ではない。
管理部門のミッションは、組織をより良く動かすための仕組みと仕掛けをつくることだ。数字の可視化、行動・状況の可視化、次に必要なことの可視化——この三つを実現することが、管理部門が果たすべき役割だと考える。
経理は「処理担当」ではなく「経営の羅針盤」になれる
経理という職種は、会計処理をする部門だと思われがちだ。しかしそれだけでは、経理はコストセンターのままだ。
数字を踏まえて「次に何をすべきか」を示せる経理担当者がいると、会社は変わる。予実の差異を見て原因を分析し、経営レベルでも業務レベルでも動くべき方向性を打ち出す。いわゆる「戦略会計」の視点だ。
これができる人材が管理部門にいる会社といない会社では、意思決定のスピードと精度に大きな差が生まれる。
IT活用を推進できる人材の重要性
仕組みづくりのもう一つの鍵が、IT活用だ。
数字を可視化し、次に打つべきことを示し、それを一連の仕組みとして実装する——このプロセスをITで実現できる人材が管理部門にいると、管理部門は「コストセンター」から「経営インフラの設計者」に変わる。
実際に業績の良い会社の事業DDを行った際、人材採用と仕組み構築に相当な力を入れていた。予実の可視化、次のアクション検討、それを効率的に実現する管理システムの自主構築——これらを管理部門が主導していた。
ここで重要なのが「自主構築」という点だ。何をすべきかが明確な会社は、自らシステムを構築し、使いこなしている。一方、何をすべきかわからないまま、システム会社から提案されたパッケージを導入した会社は、活用しきれず無駄な投資に終わることがよくある。システムは目的ではなく手段だ。目的が明確でなければ、どんなシステムも機能しない。
財務に強い人材とITに強い人材を
利益体質の会社をつくるために、今一度考えてほしいことがある。
管理部門に、財務に強い人材とITに強い人材を置いているか。あるいは採用を検討しているか。
この二つの人材が管理部門にいると、数字を見て動く組織と、数字を動かす仕組みの両方が手に入る。それはもはや「コストセンター」ではなく、経営の競争力そのものだ。
管理部門への投資を、コストではなく「利益を生む仕組みへの投資」として捉え直してほしい。