経営者が最低限押さえるべき4つの数字

経営者が財務に詳しい必要はない。しかし、最低限これだけは自分で把握しておいてほしいという数字がある。

難しい分析は後回しでいい。まずこの4つを毎月自分の目で確認する習慣を持つだけで、経営の解像度は大きく変わる。

1. 現預金の増減とその主な理由

現預金の動きは、通帳を見れば確認できる。難しいことは何もない。

毎月末、通帳の残高が先月と比べて増えたか減ったか。そして大きな金額の入出金を眺めて、何に払ったか、どこから入ってきたかを確認する。細かい小口の支払いまで追う必要はない。大きな金額の動きだけ把握しておけば十分だ。

利益が出ていても現預金が減っているなら、どこかにお金が流れている。借入返済なのか、売掛金の回収が遅れているのか、在庫が積み上がっているのか。逆に赤字でも現預金が増えているなら、その理由も把握すべきだ。

「今月、通帳の残高はいくら増えたか減ったか、大きな支払いは何だったか」——まずこれだけ毎月確認する習慣を持つことから始めてほしい。

2. 試算表の売上と営業利益・経常利益

月次試算表を税理士から受け取っても、ざっと眺めて終わりという経営者は多い。

最低限見るべきは売上と営業利益(または経常利益)の2つだ。売上が計画対比でどうか、営業利益率は前年同月と比べてどうか。この2点を毎月確認するだけで、業績のトレンドが見えてくる。

細かい科目は後でいい。まず全体の方向感を自分で把握することが先だ。

3. 一つ一つの値付け

売上は数量×単価で決まる。しかし多くの経営者は、個々の商品・サービスの単価を正確に把握していない。

「あの案件、実際いくらで受けたっけ」が答えられないなら、値付けを管理していないということだ。値付けの根拠と実績を把握することが、利益管理の出発点になる。

4. 主要顧客の売上推移と累計

全体の売上だけを見ていると、どのお客様が業績を支えているか、あるいはどのお客様の売上が落ちてきているかが見えない。

主要な顧客の売上を月次・累計で追う習慣を持つと、異変に早く気づける。「A社の売上が3ヶ月連続で落ちている」という事実は、全体の売上を見ているだけでは埋もれてしまう。

この4つを起点に、理解を深めていく

現預金、損益、値付け、顧客別売上——この4つは、経営の全体像を理解するための入り口だ。

この4つを毎月自分で確認できるようになると、試算表の見方が変わり、資金繰りへの感覚が変わり、値付けへの意識が変わる。財務の専門知識がなくても、経営判断の質は確実に上がる。

数字から逃げない経営者と、逃げ続ける経営者の差は、時間とともに確実に広がっていく。