経営環境が確実に変わってきています。
人材採用難、人件費の上昇、インフレによる各種コストの増加——これらは多くの経営者が肌で感じていることだろう。しかしもうひとつ、見落としてはならない変化がある。金利の上昇だ。
金利が「経営コスト」として復活した
長らく超低金利の時代が続き、借入コストは限りなくゼロに近かった。事業計画を策定する際も、平均金利1.5%前後で計算することが多かった。それが今や2.5%、ケースによってはそれ以上になりつつある。
数年先の事業計画を作る際には、この上昇を見込む必要がある。単純に言えば、確実に利益が減少していく。
1%の金利上昇が何を意味するか。借入が10億円あれば、年間1,000万円の費用増だ。社員2名分の人件費に相当する。借入が大きい企業ほど、この影響は非常に大きい。
「返さなくていい借金」という感覚からの脱却
かつて、借入を疑似的な資本のように扱ってきた企業は少なくない。返済を繰り返しながらも実質的に借入残高を維持し、それを事業の原資として回し続けてきた。
金利が低い時代、それでも成立した。しかし今は違う。金利が上がるということは、その「コストのかからない疑似資本」が、じわじわとコストのかかる負債に変わっていく——本来あるべき姿に戻ろうとしているということだ。
借入が重い企業ほど、この変化を正面から受け止めなければならない。そしてコストが上がる時代においては、収益額、収益率——要は利益の額と質を上げるしかない。
人件費の問題は、過去の「つけ」でもある
金利だけではない。人件費も増加している。人材不足もあり、働き手が減少しているから当然だ。しかし、そもそも人件費は低くなりすぎていたのではないか。
収益性・生産性が低い時代の中で、人の費用を抑制してきた。大手取引先からの原価低減圧力もあり、良いものであっても安価に売らざるを得ないこともあった。
しかし、良いものには良い価格をつけなければ、その後は続かない。業績が厳しくなれば、良いものはそこで途絶えてしまう。
その過去の「つけ」が今後のサプライチェーンにどんな影響を及ぼすのか——アメリカの製造業への回帰が見える中で、日本の中小企業の技術やノウハウをどう維持していくのか。言いたいことは山ほどある。
話を戻そう。つまり、人件費は上げなければならない。採用できないからではなく、働く人に正当に還元すべきだからだ。
コストが四方から上がる中で
原材料費も光熱費も上がっている。金利も上がる。人件費も上げなければならない。
コストが四方から上がる中で、売上が横ばいのままであれば、利益は確実に圧縮される。
今まで以上に、「収益を得る」という活動を直視して、徹底しなければならない。収益性の向上——値付けの見直し、不採算取引の整理、生産性の改善、固定費の構造見直し——これらはもはや「いつかやること」ではなく、「今すぐやること」だ。
事業計画の前提を、今すぐ見直す
もし直近の事業計画が、かつての金利水準をベースに作られているなら、今すぐ見直しが必要だ。
金利2.5%、人件費上昇、インフレを織り込んだ上で、それでも利益が出る構造になっているか。そこを問い直すことが、これからの経営計画策定の出発点になる。
環境が変わった。経営の前提も変えなければならない。