なすべきことを整理し、アクションプランを作った。期限も担当も決めた。あとは遂行するだけ——そのはずが、なぜか組織が動かない。あるいは動いてはいるが、何かが違う。
この状況に心当たりのある経営者は少なくないはずだ。
経営者が「管理者」になるとき
アクションプランを作ると、経営者は往々にして「管理者」になる。進捗を確認し、遅れを指摘し、報告を求める。
しかしこのとき、実行する側の心理はどうなっているか。
「成し遂げたい」ではなく、「やらないといけない」になっている。
この違いは小さいようで、実は大きい。管理される側の人間は、より良い方法や方向性が見えていても、「とりあえずやらないと」という心理に引っ張られる。結果として、無駄な行動が積み重なる。経営として見れば、これは損失だ。
アクションプランが機能しない本当の理由は、計画の質ではない。経営者が管理者になった瞬間、現場の思考が止まるのだ。
見直し会議体の落とし穴
硬直化を防ぐために「見直しの会議体」を設ける企業は多い。しかし、その場が機能しているかどうかは別の話だ。
問うべきは、経営者自身が本当に経営全体を捉えているか、という一点に尽きる。
実行する側も、レビューする側も、相応に思考の幅と深さを持たなければならない。そのためには、肌感覚で外に出ること、現場に行くこと、具体的に踏み込むことが不可欠だ。
数字やレポートだけを見ていては、状況の本質はつかめない。会議室の中だけで行われる見直しは、往々にして「追認の場」に成り下がる。
動く情報を管理することの難しさ
もうひとつ、見落とされがちな問題がある。
状況は常に動いている。市場も、現場の実態も、担当者の認識も。それを「情報として管理する」こと自体が、実は難しい。
ExcelやPowerPointでは書ききれない。途切れる、見切れる、見にくい——こうした「手間」の印象は、じわじわと更新する意欲を奪い、やがて情報は古くなっていく。
完璧なツールの話をしたいわけではない。ただ、動くものを動くまま捉えようとする姿勢と仕組みが、アクションプランの遂行には必要だということだ。
整理すると、アクションプランを「生きたもの」にするためには三つの問いが常に必要だ。
経営者は管理者になっていないか。見直しの場は本当に機能しているか。状況の変化を、現場感覚で捉え続けているか。
計画の精度より、この問いを持ち続けることの方が、よほど業績に効く。