事業再生局面での心の保ち方

業績悪化がひどく進むと、まず資金繰りが厳しくなります

一定程度資金繰りが回っていたとしても、期待するほど仕事が取れない、売上が作れないという状況が続けば、精神的にも弱気になりますし、先行きに対して、当初想像していたよりも不安になります

不安になれば、会社を売ろうかなとか、セミナーで話のあった目先の話などにうつろいやすくなりますし、どうしても小手先での対応に目がいきがちになります

ただ、本当に困った状況で、精神的にも厳しい状況では、「小手先」であるかどうかは関係無く、やれることをやっていないと気持ち的に持たないというのが人間というものだと思います

ですので、客観的なアドバイザーのような存在は有益にもなりますが、そう簡単にそんな業績状況であったり、精神状況を話できる相手というのは通常見つからないものです

不安な状況というものは今の不安と、将来への不安があると思います

1:何をしたら良いか分からない不安 
何が正解なのか?今の取り組みは本当にあっているのか?間違っていないのか?が不安

2:やることやってはいるが…見通しの立たない不安
この先どうなるのか?この状況がいつまで続くのか?不安でしょうがない

事業再生局面の王道の取り組み方は「引き算」

1の何をしたら良いか?については、資金繰りを最優先に考えるべきとなります

もちろん、他のことだって優先しなければならないことはありますが、先ずは「資金繰り」一択と割り切ることが必要です

言い換えれば、「引き算」となるのですが、これが簡単ではないです

実行が簡単ではないという意味ではなく、気持ちの面で、色々なものを差し引く=辞める、止めるというのは、本当に簡単ではないと思います

しかし、資金繰りが最優先です

そこは「何を残したいのか?」言い換えれば、「何を守りたいのか?」ここを決めたら、残りは「引き算」というぐらいに資金繰りの安定化を必須にしてください

まず、資金繰りが一定程度安定化すれば、改善はしていなくても、時間的には猶予がつくれますので、精神的にも安定しますし、じっくり取り組める状況になります

このまま先の将来が見えないから不安

資金繰りが安定しても、いつまた悪化するかわからない…

結局、リスケしてもらっているから資金繰りが安定はしているが、いつまでこの状態が続くのか?

そういった将来が見えないことによる不安もすごく気持ちが分からります

これは事業再生の時でなく、通常の営業の際にも、仕事の波がある中で、先行き不安は当たり前にある話だと思います

未来への取り組みは「足し算」

そういう時は、仕事やお客様の足し算を進めていきます

具体的には、

・仕事を増やすために、かつて取引があった先、過去のお得意様など、以前は取引があったが、自然と今は無くなってしまったとか、当時何かあって取引が終わってしまったお客様に改めてご連絡をすること(既存顧客深耕)

・お客様からのご紹介を頂く(新規顧客開拓)

・見込み客がいそうな販路や場所につながるお客様や関係者を巻き込む(チャネル拡大)

こんなことをしてみるだけでも、以外と広がります

特に、過去のお得意様へのご連絡は、是非やってみてほしいです。基本的に時間が経ってからのご連絡は、意外と当時とは状況が異なっていますので、改めての取引につながりやすいことと、

そもそも、お客様は「我々を忘れている」だけ、というのも良くあります

結局、困った時に相談できる相手をイメージできるか?(思い出せるか)、連絡取りやすいか?の2つの条件がそろっているかどうかで受注できる機会は大きく変わるのではないかと思います

もちろん、更なる成長をしていくには、新規顧客の開拓はマストですので、しっかりと事業のつくりこみが必要ですが、この取り組みは時間も労力もかかりますので、

事業再生の客面では、既存顧客(今は取引ない顧客も含めて)との取引アプローチが非常に有効です

最後に… 厳しいことは自ら行う

とてもつらい局面においても、やはり経営者はラストスタンディングで、殿(との)であり殿(しんがり)として、厳しくつらいことは、他人任せはいけないと思います

時にリストラもあります

何かを引き算するということは、本当につらいこともあります

しかし、そのつらいことを他人任せにしてしまうと、残ってくれる方に対しても不信感が残ります

どんなにつらいことで、厳しいことでも、やはり社長として、厳しいことをは自らの言動をもって、取り組まなければならないと考えます

(自身でも実際に経験してますので、そのつらさや、テクニカルな難しさも分かりますが、だからこそ自身でやりきることが必要と痛感しております)