「引き算」の経営

売上げが下がる、しかしコストは上がる、人が辞めてしまう、現場からは給料上がらないと今以上のことはしない

こんな話は多くの中小企業で起きていると思います

このような状況を改善しようとすると、ついつい「足し算」の経営に走ります

具体的には

売上げを増やすため、今までやってないような案件の仕事にも着手します、しかし、多くの場合、無理にとっだ案件で、不得意であったり、未経験であったりと、不採算を起こすことが多く、売上げは増えるが、さらに赤字が広がるというのはよく見かけます

生産性を上げようと、新たな設備やITツールを導入し出しますが、結局のところ使いこなせず、無駄な投資と現場からは揶揄されます

コストを下げようにも、今までの調達先との関係性もあり、基本的にはもっと安いところがないかを探し、新たな取引を始めます

人が辞めると言えば、新たに採用を始めます

給料が低いと言われれば、やる気を出すために給料を上げます

などなど、、

この状況を現場の人たちはどう見るか?

端的に言えば、経営者は迷走している。軸がない。そんな批判、不安、未来への希望が見えない。

働いてる人に面談をすると、大概こういう言葉が返ってきます

いろいろなことが新たに始まるのはいいんですが、基本的には本質的な改善はなく、足りなければ足すと言う発想で、

厳しく言えば、これらは誰でもできることであり、

誰でもできる経営については、競争優位性など作れるわけもなく、

基本的には厳しい業績を余儀なくされます

社会全体や、市場自体が成長している時代であれば、ある程度ざるな考え方でも利益はできたかもしれませんが

今の時代、利益はしっかりと作り込むように、創意工夫がなければ、利益は残りません

「引き算」経営は工夫の経営

翻って、引き算経営とは、

端的に言えば、ムリ、ムダ、ムラを引き算する。要は無くすということ

当然ながら、そこには創意工夫がなければ、できないですし、

多くの場合、精神的な不安、苦痛を伴うこともあります

だからこそ、避けたいと思うの気持ちはわかります。私もそうです。

しかし、業績を上げること、ありたい状態になりたいならば、やはりここは避けて通れません

例えば、

赤字になっているような取引はやめる、赤字商品はやめる

仕入れ先を絞り込む

社内に起きている無駄をなくす

活用する設備やツールを絞り込む

あれやこれややらない、取り組む内容を絞り込む

仮に人が自然減で減ったとしても、少ない人数でやり切る

やれることは本当に多くあります

そして、どれも大概直接的に利益貢献します

間違って欲しくないのはコスト削減だけではないです、

使う量を減らすことも大事なんですが、そもそも、仕入れ先を見直すとか集約するとか、

赤字の仕事を辞めるとか、

過剰品質になっている部分をなくすとか、

そういう根源的なところに踏み込まないと、大きな成果はやはり得られません

ものづくりでも現場の改善活動は得られる成果は20から30%ほどで、そもそもコスト構造は、使用の段階設計の段階工程設計への段階で決まってしまうと思います

そういう意味では、もっと抜本的なところの引き算をしなければ、効果は大きくない

抜本的なところが、大概、今までの人間的な関係性、会社の関係性など、

合理性もありますが、半分感情的な側面で引き算できないことが多いです

ゆえに、「聖域」などと言われます

しかし、この聖域に手を入れると、実は組織的には新たの挑戦であり、会社は変わろうとしている!とポジティブに捉えられることが多いのです

要は、みんな問題であるとわかっていたが、手を入れられなかった。というだけです。

みんな問題だとわかっているのです。

しかし、手をつけれない。

それは大概、合理性で判断、行動できない話ですよね。

逆に言えば、まだまだ改善の伸びしろがあるともいえます

私も含めて、やはり足すと言うのは精神的にも気持ちが良いものです

一般論ですが、日本人は足して足して、いつの間にかいろんな機能がありすぎる製品が氾濫していますが、

結局は使いこなせません

テレビのリモコン使いこなせません。。

経営も似ているな、と思うのは私だけでしょうか?